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「ねえったら!びっくりした?」
女の子は嬉しそうに二人を覗き込みます。
けれど、ナナもキキも返事が出来ません。
女の子のことも、もう少しも怖くありません。
ただ…なんだか、とても眠いのです。言葉を声にすることも出来ません。
“おかしいな…さっきまでずっと眠っていたっていうのに、まだ眠いなんて。ねえ、キキ。”
“そうね、ナナ。ワタシも…すごく眠たいの…。”
そうやって、もう人には聞こえないはずのお互いの声を交わすと、二人は最後に呟きました。
────“おやすみなさい”────
「いやあああ…!」
暗闇の向こう側…遠くから、お母さんの声が聞こえた気がしました。
きっと畑のほうです。もうすぐ、ここへも誰かやって来るでしょう。
お母さんは、頭のないワタシ達をちゃんと見分けられるかしら。ちゃんと、抱き締めてくれるかしら。
そう考えている時にはもう、綿入りカボチャはカラッポでした。
「なあんだ、お姉ちゃん達また寝ちゃったの?つまんないの!」
そう言って、悪い精霊はヒュン!と青い火になって、どこかへ消えていきました。
そして、ハロウィンはやって来ました。
ナナとキキの話は人々の間を瞬く間に駆け巡り、町は悲しみに沈んでいます。
それでも、それはいつにもまして盛大に行われました。
子供達の為、悪いモノを追い返す為…なにより、帰って来る死者達の為に。
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