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「山口くん」
「はい?」
「さっきも言ったがSSS課は発足したばかりだ」
「はい」
「つまりは、まだ実績がない。だからSSS課での初の実績は高く評価される。.........言ってる意味分かるかい?」
・・・?
SSS課は発足したばかりでまだ実績がない。
・・・ということは、配属されている人間に形式上の上下関係はあっても実力、実績での上下関係はない。
そして、実績が無いが故に実績を作ればその人物は高く評価される。
つまり。
「出世しやすい?」
「・・・どうやら君は頭の回転が速いようだ。よかった、期待通りだよ。是非とも、頑張ってくれ」
俺は、期待されてる?
同期の中でも特別出世しやすい課に配属されたんだ、そう思っていいはずだ。
「・・・はい!」
「うん、いい返事だ。.........お、丁度良いところに来たな、長瀬くん」
長瀬くん?
僕が振り返るとそこには黒髪でショートヘアの女の人が立っていた。
・・・凄くキレイな人だな.....。
「山口くん、彼女がSSS課に所属する長瀬くんだ」
「や、山口です。よろしくお願いします!」
「長瀬です、よろしく」
そう言って長瀬さんは微笑みながら自己紹介してくれた。
その微笑みがあまりにキレイで顔が熱くなる。
「それでは長瀬くん、案内を頼んだ」
「わかりました。それでは山口さん、行きましょうか?」
「あ、はい! わかりました! では、失礼します!」
「ああ、頑張ってくれ」
「はい!」
人事部部長から激励の言葉を貰い、僕はそこを後にした。
「・・・頑張ってくれ......辞めないように」
そんな部長の呟きは、既に離れていた僕には聞こえなかった。
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