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作品は、受付から右へ10メートルほどの壁に、点々と貼られていた。
廊下に観覧客はほとんどいなかった。
直緒たちの他には、年配のご婦人が、曲がった腰で、絵……の下の壁?……を見て回っているだけだ。
「ねね、素敵な絵でしょ?」
息を弾ませ、典子が言う。
「ええ、まあ」
文字ばかり相手にしてきた直緒には、絵は、よくわからない。
「ほら、この優しい色使い」
典子は、一枚一枚、丁寧にみていく。
ウサギやクマ、ライオンなどが、ほんわりした輪郭で描かれていた。どのキャラクターも三頭身くらいで丸っこい。
確かに、優しく淡い色合いだ。
この絵師さんに、BLの挿絵を?
なんだかちょっと、違う気がする。
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