201人が本棚に入れています
本棚に追加
/909ページ
その時……。
「これは面白いものを見せてもらった。長生きはするもんだねえ」
腰を直角に折ったばあさまだった。
廊下の奥で絵を観ていた老婦人だ。
とことこと歩いてくると、直緒と桂城の間に割って入った。
「あんたは攻め確定」
桂城を指さす。
「でも、それでは、直緒さんと先生の属性が、同じになってしまう」
不服そうに典子が割って入った。
「受け属性が二人では、三角関係の頂点は、唯一の攻め、桂城さんになってしまいます。桂城さんを取り合って、直緒さんとヒロム先生がやりあうなんて。ありえません! この場合、三角関係の頂点は、ヒロム先生であるべきです! ヒロム先生を巡って、直緒さんと桂城さんが争っているのです!」
……そうだ。
直緒は頷いた。
絵本画家として求めるしあわせ書房と。
BLの絵師として求めるモーリス出版と。
会社を背負って、確かに、直緒と桂城は、争っている。
最初のコメントを投稿しよう!