三角関係の頂点は?

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 その時……。  「これは面白いものを見せてもらった。長生きはするもんだねえ」  腰を直角に折ったばあさまだった。  廊下の奥で絵を観ていた老婦人だ。  とことこと歩いてくると、直緒と桂城の間に割って入った。  「あんたは攻め確定」 桂城を指さす。 「でも、それでは、直緒さんと先生の属性が、同じになってしまう」 不服そうに典子が割って入った。 「受け属性が二人では、三角関係の頂点は、唯一の攻め、桂城さんになってしまいます。桂城さんを取り合って、直緒さんとヒロム先生がやりあうなんて。ありえません! この場合、三角関係の頂点は、ヒロム先生であるべきです! ヒロム先生を巡って、直緒さんと桂城さんが争っているのです!」  ……そうだ。  直緒は頷いた。  絵本画家として求めるしあわせ書房と。  BLの絵師として求めるモーリス出版と。  会社を背負って、確かに、直緒と桂城は、争っている。
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