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「……」
「……」
「で、どこが?」
「歩は、奥手の女の子の設定です」
直緒は言った。
そこまでの文章から、そう、読み取れる。
「その彼女が、シャツの下に何もつけていないなんて、おかしいです。つまりその……」
「彼女?」
黒服の青年は露骨に不快そうな顔をした。
「もういいです。実技試験は終了です」
彼は言った。
「続いて、社長面接があります。しばらく、このままでお待ち下さい」
そう言うと、ひったくるように、直緒の手から、タブレットを取り上げた。
振り返って、直緒を見下ろした。
「それから。『歩』は、アユミじゃなくて、アユム、ですから」
言い置いて、部屋から出て行った。
……だって、どこにもルビ、振ってなかったじゃん。
一人残された直緒は、憮然とした。
……まさかヒロインの名前を読み間違えたからって、減点はないだろうな?
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