いつもの夜

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江梨花の仕事は 風俗だ 。 私には 夜のBARで働いているの。と嘘をついている。 ある日の夜見るからに如何わしいピンクの看板のお店に入る江梨花の姿を見つけてしまった。 だが、私はその瞬間引き止めようともしなかったしショックも受けなかった。 江梨花が夜のBARで働いているなんて嘘だと分かっていたからだ。 江梨花は昔から嘘をつく時下唇を噛む癖がある。 江梨花が私にこんな嘘をつくのは仕方が無い。 ある日私は友人との電話で 「風俗で働く女はどんな考えしているのか分かんない。なんで身体売るの。」 なんて江梨花がいる前で言ってしまったからだ。 私もこの考えは浅はかすぎたと改めて思う 風俗で働いている人にはそれなりの事情があるのは分かっている。だけど人を見下してしまう。 それが私の癖だ。 スマホのアラームが鳴る。 昨日そのままソファーで寝てしまっていたからか身体が痛い。 今日が休みで良かったなんて思いながら無理矢理身体を起こすと風呂場からシャワー音と微かに鼻歌が聞こえてくる。江梨花が風呂を入っていたのだ。 私はキッチンに向かいペットボトルの麦茶を小さなコップに移した。 ソファーを座りながらスマホを見る。また昨日の馬鹿女がSNSに自信ありげに自分の顔を晒している。それを見ながら私はまた嘲笑う。我ながらこんな事するのは最低でクズだと分かっている。だがやめられない 。 そんな事を思っていると江梨花が髪をタオルでガシガシと拭きながら 「あ、おはよう。今日ね、グラス割っちゃって怒られちゃったの。」と江梨花は恥ずかしそうに言ったそして下唇を噛んだ。 「失敗する日もあるよ。大丈夫。」と江梨花に微笑みながら言う。 それも嘘なんでしょ。と思いながら。
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