【泣処】 2

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【泣処】 2

社会人になってから、毎日が同じことの繰り返し。 起きて、会社に向かって、仕事して、帰って、寝る。 友達には、仕事をすれば良い男も見つかるって言われたけど。 気付けば、独身貴族貫いていて。 代り映えのしない毎日。 いつも見る、同じ光景。 学生時代は、あんなに全てが輝いて見えて。 毎日同じことの繰り返しでも、あんなに楽しくて。 【大人】になった途端に、楽しいことは減るばかりで。 小さい頃に想像していた大人からは、大きくかけ離れた現実は。 とても、辛く苦しいことばかりだと考える。 お花屋さんにケーキ屋さん、芸能人にアイドル。 夢見た職業なんて、現実を見たら難しいことばっかりで。 何も考えずにいられたあの頃が懐かしい。 ただ只管に、遊びに全力で、生きていることを感じて。 朝は、母の声とおいしそうな匂いで目が覚めて (朝は、機械音と外から聞こえる騒音で目を覚まして) 学校についたら、勉強に遊びに給食に (会社についたら、書類に外回りに上司のご機嫌取り) 学校が終わったら、友達とお菓子を食べてよく分からない遊びをして (残業が終わったら、同期と飲みに行って愚痴大会開いて) 家に着いたら、またご飯の匂いと温かいお風呂、最後はふかふかのお布団に潜り込む (深夜に帰り着いたら、パソコンとにらめっこして冷え切った布団に潜り込む) 仕事が嫌なわけじゃない。 同じ毎日が嫌なわけじゃない。 一人暮らしが嫌なわけじゃない。 嫌なわけじゃないけど、どうしても。 何か言い訳をつけないと、退屈な毎日に諦めてしまいそうになるから。 そうして、今日も同じ日を繰り返す。 虚ろな瞳を隠すことなく。
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