遠すぎた春

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「ママ、お腹すいたよ」  食料は底をついていた。もう何日も飲まず食わずが続いている。  母は唇を噛む。こうなったのも、行政が何の手も打たずにほったらかしにしたからなのだ。 「もう少しの我慢よ。おやすみなさい」  そして、春。煌めく陽射しの下に、クマの親子の姿はなかった。
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