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そして、翌日。
皆一様に涙を流している中、ただ二人、その後に待っている地獄を想像して憂鬱な顔をしている生徒が二人。日陰東と羽川かすみだ。
卒業式の日だからこそ、喫茶店は忙しいことこの上ない。
当然のことだが、この時期は毎日のようにどこかの学校で卒業式が開かれている。ひと息ついたり、ニコチン補給が出来たりする場所を求める父兄のおかげで、喫茶店は大盛況だ。
そんな状態だから、これから大変だぞ、という気持ちばかりが前に出て、しんみりした卒業式の輪に溶け込めやしなかった。家業で忙殺されている日陰家の家族は祝ってくれるのは玄関先まで。一度として参列してくれた事はない。
理由は知らないが、親が参列していない点は羽川かすみも同じだった。
「東、急ごう」
「うん」
この通学路を歩くのも最後なのに、急いで通過しなくてはならないとは。唯一の良かった点は、気になる女子と一緒だという事か。いや、これは相当ポイントが高いと東は一人納得して走り出した。
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