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幸せになってほしい。それは心からの願い。
僕に出来ないことを、アイツは【彼女】に与えてやれるから。
どうか僕のことを案じて悲しまないでほしい。
「深い意味は無いよ。映画の『卒業』みたいにさらう気もないし」
「東條が絶対阻止しそうだけど……あっ」
おどけた僕の言葉についつっこんで、倭がしまったという風に息を飲む。
「ほんとだよね、あの粘着質な男がみすみす奪われるのを眺めてるわけないし」
倭に気付かないフリをして、明るく冗談で返した。
仕事の都合で渡米して、それから更に一年が過ぎる。
適度に仕事をして適度に人付き合いをして、誘われたらベッドを共にして、『人間として』当たり前の日々をただ過ごしていた。
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