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「わっ!あっ、あーっ!!」 缶がぶつかったのに驚いて、手にした何かを落として慌てるその人は、ズタボロの服をまとった少女だった。 「大丈夫ですか」 駆け寄ると、落としたのはハンバーガーのようだ。目に涙を浮かべて無惨になったそれを、みつめている。 「ミウラ!ほっときなさいよ。ホームレスになんて関わるもんじゃないわ」 同僚が僕の腕を引くのを振り払い、絶対零度の視線で見下ろした。 「アマンダ、君とは色々考え方が異なるようだ。パンを欲するものから奪っておいて、平気な人間とは僕は合わない」 「なっ……っ」 侮辱にとっさに手を振り上げるアマンダの、その手首を掴んで微笑みを返す。 ねぇ、女だからって僕が容赦するとでも思ってるの?
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