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甘い夢の余韻を振り払うように、冷水のシャワーを浴びる。 冷たいとか、痛いとか、そういった感覚をあまり感じなくなってどれくらい経つだろう。 味覚も無いわけではないけど、美味しいとは感じない。 シャワーから上がるとメッセージの着信に気付く。 【ひょうとぼっちゃんおきれましたか。あさごはんたべてください。きよみ】 慣れぬ機械に、四苦八苦してるだろう彼女の顔を浮かべ笑みが浮かんだ。 「もしもし、喜代美さん?」 幼い頃から実家で家政婦として働いてくれていた、喜代美さん。 独り暮らしをしているときも、よく部屋の片付けやご飯を作りに来てくれた。 渡米することになったときも、着いてくると言い張って大変だったくらい、僕を案じてくれている。
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