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職場に着くといつもの日常が始まる。
「ヘイ、ミウラ。もうご出勤か?さすが日本人だな」
茶化すように口笛をふく警備員に、混んでるのが嫌いだからと肩をすくめた。
そこそこ仕事して社交して、そつなく日々を過ごす。
季節がいつしか冬へと移り変わって行くのを知ったのは、街がクリスマスに向けて賑わい初めてからだった。
「ミウラ、クリスマスは日本に帰るのか」
「んー。どうしようかな」
日本には帰らない。それだけははっきりしているくせに。
同僚の問いにあいまいに誤魔化すのは、強引にパーティーに連れていかれるから。
ハロウィンの時は油断して予定がないと言ったが最後、ひどい目に遭った。
あんな浮かれたイベントに参加する奴の気が知れないよ。
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