優しき者より、護るべき者たちへ

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大人になってわかった。 誰かの言いなりになるってとても楽で……そして、とても残酷だ。 責任から逃れて楽になり、破滅したら自分の責任になる。 楽になった分だけ、後で支払う分のツケは大きくなるっていう性質の悪い借金のようなもの。 「まだいるのか……」 複数の足音を聞いて、僕は再び歩き出す。 こんな日陰者生活の僕にも家族がいる。 両親がいて、姉妹がいる。 長女は僕によく似ている。 いや、逆か……。僕は長女によく似ている。 見た目に反して直情的に突き進んでしまう。 冷静に対処しているように見えて、視野が狭い。 次女と三女は見た目に反して物事をよく見ている。 達観というか、諦観というか……どこか年配者特有の余裕があって、羨ましく思える。 妹たちはなんというか個性的で同性愛者、暴力的わがまま、人間嫌いの引きこもり……。 どうしてああなったかと言えば、しょうがないともいえる……。
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