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哲也とあたしは、この京都にちょっとした旅行でやってきた。
荷物をコインロッカーに預け、軽く買い物に繰り出した。
桜の季節にはまだ少し早いものの、外国人観光客でごった返す古都にはやわらかい風が漂っている。
祇園から見て、鴨川をはさんだ対岸の河原町商店街の中にはいくつかお寺があるので、雑多な中でもどこか清廉な雰囲気があった。
地元ではなかなか味わえない緊張感に「やっぱ日本の古都って感じだよねー、趣があるよねー」なんて普段使わない言葉を口にしながら、寺町通と裏寺町通を行ったり来たりしていた。
カフェやレストラン、和食処に神社、薬局、ＣＤショップなどが混在していて、和の中に洋が混ざっているものだから、ここが京都であるということを忘れてしまいそうで、楽しかった。
ふらふらと入ったショップの店員と哲也が見つめ合い、しばらく動かなくなるという奇妙な場に居合わせるまでは。
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