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「死ぬ?上等だ!かかって来いよ!!」
アタシはラウルの一番手は知っていた。嫌という程、見せつけられていた。だが、次が分からない。
避けようとして足が縺れ尻もちつく。
「甘いな!」
ラウルは真剣な表情でアタシの肩にスパッと竹刀を振り下ろす。だが、余り痛みがない。どう考えても手加減しているようだった。
アタシは顔が熱くなるのを意識する。
こんな奴にまで女扱いだなんて。きっと男だったら、全力で潰しにかかられるのだろう。だが、名家の子孫として最悪だ。
アタシは目をカッと開けて言った。
「ば、馬鹿にしやがって!アタシをおちょくるのもいい加減にしろよな!」
ラウルが気持ち悪くニヤニヤ笑う。
「俺、お前の威勢の良い所、嫌いじゃねえんだぜ?嬲り甲斐がある」
「下衆が!普段被ってる紳士面、もうできないようにしてやるよ!」
「おーおー、やれるもんならやってみろ。お前の突きは子鹿の突きみたいなもんだしな」
何度も肩をしばかられる。少し痛みでジンジンして来た時、腰を狙われ始める。
アタシは何度もラウルのみぞおちを狙うがいとも簡単に避けられダメージだけが蓄積されて、頭がボーッとして来る。
とうとう立っているだけでも辛くなって来た時、ラウルが竹刀を放り出した。
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