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異空間への招待状
ふかふかの布団に身を埋め、ぼく…は『おやすみ』と小さく言った。
『おやすみ』は唯一誰からも邪魔をされず、身も心も自由に解放することを許される言葉。
現実世界から異空間への招待状。
真っ暗な部屋で目を瞑り、少しずつ意識が遠のいて…
ぼく…だけのストーリーが始まる。
いつもの町を歩いていると、突然知らない外国人に追いかけられ、何故かフランス辺りのオープンカフェのテーブルを薙ぎ倒しながら、訳も分からずぼく…は逃げ回っていた。
そこで知り合った猫に匿ってもらい、ご飯をご馳走すると、どこかで見たことあるような土管のある空き地にいて、数十匹の猫達が一斉に襲い掛かって来た。。。
「助けて!」
と思った瞬間目が覚めた。
辺りも暗く、時計を見るとまだ時間があるので、必死でもう一度目を閉じた。
今度は自分が舞台に上がり、沢山の人の前で歌を歌って何かの賞を貰い、みんなから祝福されている。
すごく嬉しかった。
起き上がるとぼく…は本当に泣いていた。
疲れて眠くて現実から解放されたくて寝たはずなのに、時として様々な有り得ないシチュエーションの中に投げ出される。
夢か現実か分からない時もあり、余計疲れて目覚めることも…
異空間の世界も面白いけど…
やっぱり寝てから朝まで数秒しか経ってないと思うくらい、深い深い眠りに体を投じたいな。
『今日はゆっくり寝かせてね。おやすみ』
ぼく…自身にそう言って、今夜もまたふかふかの布団に潜り込む。
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