9人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
『……俺。
今晩ヒマか?』
かかってきた電話から流れる聞きなれた声。
「特に予定はないが……何だ?また振られたのか?」
昼休みのロビーの片隅。
加納涼が紙コップのコーヒーを持ち直す。
むっと押し黙った電話の向こ うの気配に、
ビンゴと胸の内で独りごちた。
「今日は金曜だし定時に上がれる。
どこかで待ち合わせるか?」
『どこでもいい。
任せる』
なげやりな声音に苦笑して。
なじみの居酒屋を指定した加納が電話を切った。
電話の主は赤川大地。
小学校の頃からの幼馴染だ。
つき合ってる女性と別れるたびに電話をかけ てくる。
ここのところずっと連絡がなかったから、
巧く行ってるのだろうと思っていたのに。
最初のコメントを投稿しよう!