第1章

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「……まぁ愚痴に付き合ってやるか」 飲み干した空コップを握りつぶして、 加納はダストシュートに放り込んだ。 「お前ももう卒業だってのに、 いつまでもふらふらしてるんじゃないぞ」 久々に会った居酒屋で。 医学部の赤川より一足早く社会に出ている加納が説教モードに入っていた。 カウンター席の端で背筋をすっと伸ばした加納は後ろに流した短めの黒髪。 着ているのは濃いグレイのスーツにネクタイだ。 隣りの赤川はと言えば、 肩にかかりそうな癖のある茶髪に黒のター トル、 皮のパンツ。 行儀悪くテーブルに肘をついて、 じゅん菜の酢の物の小鉢を突いている。
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