9人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「……まぁ愚痴に付き合ってやるか」
飲み干した空コップを握りつぶして、
加納はダストシュートに放り込んだ。
「お前ももう卒業だってのに、
いつまでもふらふらしてるんじゃないぞ」
久々に会った居酒屋で。
医学部の赤川より一足早く社会に出ている加納が説教モードに入っていた。
カウンター席の端で背筋をすっと伸ばした加納は後ろに流した短めの黒髪。
着ているのは濃いグレイのスーツにネクタイだ。
隣りの赤川はと言えば、
肩にかかりそうな癖のある茶髪に黒のター トル、
皮のパンツ。
行儀悪くテーブルに肘をついて、
じゅん菜の酢の物の小鉢を突いている。
最初のコメントを投稿しよう!