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「まぁそう気を落とすなよ……すぐにもっとすてきな女性が現れるさ」
とりあえず慰めの言葉をかけて、
赤川の空いたジョッキの代わりに冷酒を注文する。
「結婚して欲しいような事を匂わされてはいたんだ……家族に紹介して欲しいって」
「そうすれば良かったじゃないか。
のらりくらりしてるから逃げられるんだ」
「……まだ早えよ……ちゃんと就職して食わせられるようにならなけりゃ」
目の前にガラスのピッチャーに入った冷酒が置かれた。
憮然とした顔の赤川が手酌で杯に酒を注ぐ。
「とりあえず約束だけでも良かったんじゃないのか」
加納の言葉に赤川は黙ったまま杯を干した。
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