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「みんなのおかげで僕はこの年まで楽ができたよ」
そう言うと、仲間たちは笑い声を上げた。
「嘘言わないで下さいよ。三雲さん、いっつも遅くまで残って仕事してたじゃないですか」
「むしろ私達の方が三雲さんに迷惑かけてましたって」
「いつか過労死するんじゃないかって心配してたんですよ?」
それにつられて軽く笑う。だが、ふと我が家が頭を過ると何とも言えない気持ちになる。
「……家に帰っても、何をするか分からなくてね。あ! そうそう! 遠藤君、遠藤君!」
重要事項を思い出し、最後の直属の部下である遠藤に呼び掛ける。
「例のプロジェクトだけど、先方の社長さんは――」
遠藤は呆れ笑いをした。
「そんな大きな声出さなくて分かっていますって。大の甘党でしょ? 商談の際は必ず菓子折りを持っていきます……ってコレ、昨日も言っていましたよね?」
「そうだっけ?」
「アハハ。三雲さんのテクニックや情報はあまさず頭に入れていますから安心してくださいよ」
そしてため息をつく。
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