ある星の終わり

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「ん?あれは・・・」  そうこの時までは。  青年はオレンジ色に染まりつつあった空を見上げて言った。空に何かが弧を描いているのが見える。それはやがて、一筋の線となり地上に向かって落ちる。 「流れ星かしら」  流れ星、そのものは珍しいものではない。時期によっては、流星群といって夜空に見られる。しかし、今はまだ夕方の一歩手前。そんなにハッキリ見られるモノではなかった。それに、それはハッキリと水蒸気の雲をつくりながら落ちている。 「もしかしたら、宇宙人なのかも」  少女は自分の考えを口にする。  青年はまさかと思いはしたければ、否定はしなかった。長い長い歴史の中で、宇宙人が確認されたことはなかった。けれど、それは長い間、人間同士による争いを続けてきたから宇宙人が意図的に交流を避けていただけなのかもしれない。こうして、平和になった今、宇宙人が彼らの元に現れても何の不思議もない。  青年と少女は落ちてきたモノが何なのかを確かめたくなった。普通に歩いては時間が掛かるけれど、靴のボタンを押すとたちまち、靴はリニアモーターカーのように宙に浮いた。磁気を利用してことであるが、二人にとっては当たり前のこと。見た目は普通の靴をローラースケートのように操り、草原や道を飛び越え一直線に星が落ちたと思われるところに向かった。  二人がそこに辿り着くとすでにもう、人が集まっていた。みんな、青年や少女と同じように興味本位で集まった人ばかり。野次馬の中には、サーヴァもいた。 「サーヴァおばさん」  地に足をつけると、少女はサーヴァに駆けつける。 「あ、レニちゃん、ショーくん」 「さっきはパン、ごちそうさまでした」  ショー青年は、ひとまず頭を下げサーヴァにパンの礼を言う。それから、すり鉢状に少しくぼんでしまった大地を見る。どうやら上手いこと衛星を誘導する装置が働いてくれたようだ。すり鉢状にくぼんでしまってはいたけれど思ったほど、周囲に大きな被害はなかった。
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