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20××年ーー。 世界は人間で溢れかえっていた。 社会格差は著しく拡大し、更に地球温暖化による水面上昇で人間の住む大陸も減っていた。 かつて人口の増えた中国が一人っ子政策を行ったことを見習い世界中で同じ政策を開始。 しかしそれだけでは追いつかず、衣食住に貧困する人間の数だけが増えていった。 そしてそれは勿論日本も例外ではない。 ある冷えた静けさの漂う深夜、髪の毛や髭が手入れされずに生え、何日も着ていたと見られる薄汚いジャケットを見に纏う中年の男が路地裏を駆けていた。 「はあ、はあ、はあ・・・!」 後ろからはスーツ姿の男性3人が追いかけてくる。 遂に男は行き止まりに追い詰められた。 「諦めな。もう袋の鼠だ。」 壁に追い詰められた男は音を立て尻をついた。 「助けてくれ!俺が何をしたって言うんだよ!」 涙目でスーツ姿の男達に訴える。 しかしその叫び虚しく、真ん中男は胸元から取り出した銃を構える。 銃口にはサイレンサーが黒く輝く。 「分かっているだろう?もはやこの国において、お前のような男は生きていることが罪なんだよ。」 追い詰められた男の瞳は一筋の希望を見出すことも出来ず絶望に染まる。
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