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その言葉を聞いた斉木の目が濁った。
「良いに決まってるだろ?俺たちは掃除をしているんだ。国から汚いゴミを消して綺麗にする。誇れる仕事じゃないか。それとも何だ?下流階層ごときに生きる価値があるとでも?」
彼らの仕事、"掃除"。
それは国から任された仕事だ。
遡ること5年前、黒澤という男が首相の席に就いた。
既に人口増加で対策に苦しんでいた日本を変えるべく、黒澤は政策としてある驚愕の法案を提示した。
それは、『クリーン法』。
内容は月に数十人、国民を処理するというものだ。
勿論世間は初めの頃は反発したが日々深刻になる食料不足や環境問題に苦しんだ国民は悩んだ。
しかし、選ばれる国民の対象を提示したところでこの法案は可決となった。
それは階級制度の発令、その下流階層に限られるというもの。
3分の2の国民はこれを聞き、安堵した。
自分は処理される心配はない。
人口が減るならばいいのではないか。
意外なほどにあっさりと受け入れられ直ちに実行された。
そして国は斉木達、"掃除屋"を組織立てた。
国に雇われた掃除屋は一生の上流階層を保証される。
尤も斉木は政治家の家系で元からの上流階層であった。
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