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「うん――、そうだよね……わかってるんだけど――」
「何なら食べられそう? できるかどうかわからないけど言ってみて?」
料理はわりと得意な方だから何とかなるだろう――、そう思って言い出したことだったんだけど
「食べたいモノ?」
「うん――」
「――実尋」
「え?」
「実尋が食べたい」
「……」
これは冗談だろうか?
目を大きく見開きコージを見つめる。
「今すぐ、実尋が食べたい」
その瞳はまっすぐに私をとらえ、はっきりとそう告げた。
「……」
食べたいって、それって――
「ダメ?」
小首を傾げたコージは、いつも私をからかって笑うコージとは別人のよう。
なんだか弱っているようにすら見える――
それはヤキモチのせいだとうぬぼれてもいいのだろうか?
嫉妬するのはわたしばかり――、そう思っていたけれど、
コージも私と同じで心配したり、不安に思ったり、誰かに対して嫉妬したりする――
そう思っていい?
私、図々しいから、勝手に解釈するからね!
「……ダメ、じゃないよ……コージ」
私の返事に嬉しそうに笑ったコージは、素早く私を抱き寄せ、まるで自分の熱を移すような情熱的なキスをくれた。
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