信頼。そして仲間

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ちょっと来て、と結構長く歩かされて総司に連れられたところは、女中が普段過ごしている屋敷だった。 隊士の規律を守るために、浮かれさせないために、屯所となかなか離れた所に置いてあるらしい。 して、どうして総司はこのような場所に? というのは思わなかった。 なぜなら、私のこれからやる仕事は女中のようなものなのだから。 これからは仕事以外はここで過ごせやら、仕事を覚えろやらを言われる事は覚悟していた。 しかし発せられた言葉は予想外なものだった。 「あ、佐竹(サチ)さん。この人に合う身の丈の着物ってあるかな?」 佐竹さんは新撰組の女中で、気さくで話しやすく、おまけに美人さんで、隊士にも人気がある。 「総司はん、いっぱい余っとるでー。好きなのもってってかまへんよ」 そういいながらチラッと私の事を見て、いろいろと察したらしい。 「新人隊士さんやな?初見やね。よろしゅう」 ぺこりとお辞儀をされたので、私も慌ただしくお辞儀を返した。
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