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☆26
動くとまずいよな…
折角眠っているカナに悪いので
タケルも目を瞑った
ユラユラ揺られながら
夢と現実の狭間にいるタケル
タケルは真っ白い空間の中で
揺られていた
顔は見えないけれど女性のシルエットが
浮かんでいる
その顔が見えない女性に
名前を呼ばれているような気がした
「ケル、タケルさん…」
「ん?」
…夢?
パッと目が覚める
「タケルさん、大変です!
私たち乗り過ごしました!!」
「えっ?ごめん。俺も寝てた…」
「次の駅で降りましょう。多分二つくらい先にきてます。」
「うん。」
棚からバッグを取り、カナに渡す
「ありがとうございます。」
降りて反対側のホームへ並んだ
「ごめん。俺、寝てしまって…」
「私も寝てしまったから、お互い様ですよ。」
ニコッと笑うカナの笑顔が眩しかった
それと同時にドキッとした
タケルは確信した
やっぱり…
タケルは電車を待ちながらカナに話す
「笹谷さん、またこうやって旅行行かない?」
「そうですね?いいですね~。…えっ?」
カナは驚いてタケルの顔を見た…
………
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