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山内寛也は幼馴染で、家は私の家の斜め前、幼稚園から高校までずっと同じだ。
こう考えると、少女漫画にありがちなシチュエーションのように思えるが、それは断じて違う。
これは、ただのしつこい腐れ縁というものだ。
「昨日さー、鈴木さん怒らせちゃったっぽいんだけど、どうしたらいいと思う?」
「……。」
「なあ、志穂ー。」
「…それなんじゃないの?」
鬱陶しい。
「は?それって何?」
これが分からないから、こいつはモテて告られるくせにいつも振られるんだろう。
「なあ、教えろよ。」
ああ、うるさい。自分で考えろ。
「しーほー」
「うるっさいな!すぐに私に相談するところだよ!」
例え寛也にとってはただの幼馴染でも、彼女の方からしたら私は女なのに。
私のことは名前呼びなのに、彼女のことは"鈴木さん"なのはまずい。
「あー、なるほどね。そういうことか。」
サンキューと笑う寛也の顔を、見ながら呆れる。
馬鹿ではないはずなのに、こういう女心は全く分からない奴だ。
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