再会、という名の遭遇

4/14
前へ
/208ページ
次へ
山内寛也は幼馴染で、家は私の家の斜め前、幼稚園から高校までずっと同じだ。 こう考えると、少女漫画にありがちなシチュエーションのように思えるが、それは断じて違う。 これは、ただのしつこい腐れ縁というものだ。 「昨日さー、鈴木さん怒らせちゃったっぽいんだけど、どうしたらいいと思う?」 「……。」 「なあ、志穂ー。」 「…それなんじゃないの?」 鬱陶しい。 「は?それって何?」 これが分からないから、こいつはモテて告られるくせにいつも振られるんだろう。 「なあ、教えろよ。」 ああ、うるさい。自分で考えろ。 「しーほー」 「うるっさいな!すぐに私に相談するところだよ!」 例え寛也にとってはただの幼馴染でも、彼女の方からしたら私は女なのに。 私のことは名前呼びなのに、彼女のことは"鈴木さん"なのはまずい。 「あー、なるほどね。そういうことか。」 サンキューと笑う寛也の顔を、見ながら呆れる。 馬鹿ではないはずなのに、こういう女心は全く分からない奴だ。
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加