終章 おやすみなさい、ありがとう

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これで、おしまい。私たちの戦いは終わったんだ。誰一人欠けることなく勝つことが出来た。 …いつも元気いっぱいに笑っていたサトシ。なんだかんだ言いながらも一緒に戦ってくれたミヲン。いつも無表情だけど、陰でみんなを支えていたマイカ。司令官のようにみんなをまとめてくれたヒース。 長い旅だった。辛い事もあった。逃げ出したくなることもあった。でも、みんなが傍にいてくれたから乗り越えられた。みんなが一緒だったから、前に進むことが出来た。 「ぐ、う、ううう…、うぐおおおおぉぉぉぉぉ!!!」 魔王。この世界の異変の元凶。最期の咆哮を上げながら消えていく。 そのとき、魔王の顔が割れた。そこには…、 『…っ!?』 驚いた、本当に。みんな驚きのあまり、固まってしまっている。なぜなら、魔王の中から出てきたのは私と全く同じ相貌だったからだ。これを前にして、驚かないほうがおかしいだろう。 私は魔王と対峙する。魔王は足元に落ちていた魔剣を拾い上げ、構える。 どうやら、まだ終わりではないらしい。私も床に刺していた聖剣を抜き、構える。油断なく前を見ながら、刀身を僅かに傾けみんなの様子を見る。まるで石像にでもなったかのように動かない。そういえば、魔王から発せられる禍々しい瘴気はさっきの比じゃない。きっとそれにあてられたのだろう。 「さっきの戦いは小手調べに過ぎないってことか。…なら、私が決着を付けないとね!」 そう吐き捨てた瞬間、私は先手を仕掛ける。右肩からの全力の振り下ろし。魔王は一歩踏み込みその剣戟を受ける。つば迫り合いに持ち込んだ。その隙に、魔王の顔を観察する。…本当に私の顔だ。こうして近くで見るとよくわかる。 「…っ!」 目が合った。それ自体には何ら問題はない。問題は…、 目に、光がないことだ。 「……う、…うぅ………」 そのとき、不思議な感覚を覚えた。 この魔王は、私だ。そう、確信した。 十分後 私は、真っ白な世界にいた。白一色だ。白と私以外に何もない世界。ここはどこだろう。さっきまでなにをしていたのだろう。いろいろ考え込んでいると、どこからか声が聞こえた。 その声が鼓膜を震わせたとき、不思議な感覚を覚えた。 その瞬間、頭に膨大な記憶が流れ込んできた。 そして私は、全てを知った。 この世界の……… 『…次は、あなたの番だね』 そう、これは私の声…
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