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「光也くん、大丈夫っ?」
楓は声を張り上げる。光也と二人で話していると、彼の体がぐらつき倒れたから。
「触るなっ!!大丈夫、だから……」
彼に触れようとすると、拒絶の声。きっぱり否定され、心が軋み手を引っ込める。
ーーでも……今は私しか居ないんだっ。
唇をきつく横に結び目を閉じて、光也の肩を支える。
「…………え?どう、して……?」
「……馬鹿。だから、触るなっ、て……言ったのに」
彼の肩に手を回したはずなのに感じない重さ。不思議に思い、ゆっくり瞳を開きそちらを見る。
ーー私……透けてる。光也くんに、触れない…………。
この時になって、楓はようやく分かった。彼が『自分に触らない』ことを条件に会うのを了承してくれた意味を。
ーー誰も私に気づいてくれなかったのは……。
「私が…………幽霊だったからなんだ」
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