第一章

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「それじゃ、お昼に行ってきまーす」 真由は、同期の野村加奈と声を弾ませながら、席を後にした。 合コンで出会う男にエネルギーを注ぐことしか脳のない入社三年目にして、 お色気バリバリの厭らしい女だ。 だいたい、なんなのあのスカートは! 制服のスカートの長さを、十センチ以上も勝手に短くしてるし……。 「ねぇねぇ、今日の飲み会って、石橋商事の営業さんだったわよね」 「そうなのよ。楽しみだよね……」 その反面、ふたりの会話が、懐かしく思えた。 おそらく、営業部にいる同期からの誘いに違いなかった。
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