第一章

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「池田さん、ここの数字だけど間違ってるわよ」 美紀は、訂正箇所にマーキングすると書類を知美に返した。 「すいません!すぐ、訂正します」 「いいわよ。もう、お昼だから……」 言いかけたときに、正午を知らせるチャイムが鳴った。 知美は、申し訳なさ気に頭を下げると席に戻っていった。 室内には、肩を揉みながら昼食を取るために席を離れる雑音が響いた。 「係長、たまにはお昼ご一緒しませんか?すぐ近くに、お寿司屋さんがオープン したんですよ。しかも、回ってないのにランチが八百円で海鮮ちらしとにぎりが あるんですよ」 佐藤真由が、声をかけてきた。
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