第二章

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「これを使います」 美紀の耳たぶを舐めながら、呟いた。 「そうですか。なら、せめて室内の照明をもう少し……」 部屋の天井に設置された大きく明るい照明が、真下にいる二人の裸体の 隅々まで照らしていた。 「何を言うんですか。もし、大きな地震や火事が発生した場合に取り返しの つかないことになりますし、何より美紀さんのことが心配なんです。それに、 暗い室内で、車のメンテナンスをすることなんてありえませんよ」 石川のくだらないが、妙に説得力ある説明に美紀も苦笑し、観念すると この「ままごと」に付き合うことにした。
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