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「ごめんね。私、お弁当持ってきてるから……」
「あぁ、そうでしたか……」
知ってるくせに、誘ってくるし……。
別に、寿司が嫌いなわけではない。
むしろ、好きなほうだ。
いや、もっと言えば大好物に違いない。
だけど……。しばらくは、食べる気が起きなかった。
それというのも、実家が寿司屋だったのは別にして、「あの日」の記憶だけは三十路に
なった今でも、わたしを悩ませるものだった。
いわゆるトラウマというものかもしれない。
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