第一章

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米川の協力もあってか、店は元の勢いを取り戻していたが、そんな矢先に、父が 突然、病に倒れてしまった。 緊急入院した際に、医師からの診断結果は大腸癌だった。 すでに末期の状態で余命半年と告げられた。 わたしが、大学卒業間近で就職活動の真っ最中の頃だった。 その後、看病も虚しく父は五十歳という若さでこの世を去った。 途方に暮れる中、母を支えてくれたのは米川で、葬儀のすべてを仕切ってくれたのには 感謝の言葉しかなかった。 米川は、その後も店舗の処理に関することで毎日のように訪れていた。 最初は、親身になって今後のことを気遣ってくれていたと思っていたが、 米川の本性は、そうでもなかったようだ。
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