序体 切なる願い

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──………あれ…? 真っ白………、 ココは、何処…? 気付いたらこの場に居た。 ただ、それだけ。 この真っ白な世界で、何処までも続く白を見渡しても、何も無い。 そして僕は、己の手足を見ようとした。 だが手足はおろか、僕には身体すら無かった。 あるのは、ただ、意識だけ…。 『ココに来れば』 ──! 『絶対、会えるから』 後方から聞こえる、僕とは違う声。 とても懐かしく、とてもよく知っている、声。 『羽狐神(うこがみ)様のこの樹のところに来れば、 …どんなに迷子になっても、 また、会えるから』 ──…………(れん)…? ……あれ、“恋”って、 “誰”だっけ……? 『だからな、● もう泣くのは無しな? 泣き虫でも堪こらえろ。 ●がそんなに泣いたら、オレまで泣く』 ──恋、恋、恋、 …ダメだ、思い出せない。
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