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「……神々が御護りになられた“羽城”の幼子──」
アルトリアはそう言うと、すぅ…、と息を吸い込み、目を閉じた。
そして祝詞を歌うように、静かに厳かに唱える。
「“月の姿は地ノ国に隠れ、月の声は天へと残った。
天空ノ巫女──カグヤから賜りし首飾りをかけた火ノ竜姫よ。
ソナタはやがて、カグヤを導く道しるべとなろう。
鍵を見つけ、月に固く硬く閉ざされた錠を外し、蓋を開けなさい。
ソコに真実の光は、遥か遠く、深い悲しみと共に眠っているだろう──”」
アルトリアの周囲に白銀に煌めく蝶達が舞う。
そしてソレは泉の周りを舞うと、泉を煌びやかに彩り、泉の“色”を変えた。
黒い髪に、黒い瞳、愛らしい顔。
少女と見間違う美しさを持つ子供は、天を見上げていた。
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