第16話

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・・・・・・・・・・ サイン会も終盤近くなって、やっと篤子が姿を現した。 いつもはぴったり横にいて握手を求めるファンに「ごめんなさい」と断るのが篤子の役目のようになっていた。 おかげで今日はうまく断ることのできないシンは、握手をしたり一緒に写真に収まったりしなければならず忙しい。 まったく。 こんな日に篤子さんがいてくれない…。 いつまでたっても終わらない…。 早く優子さんに会いたいのに。 シンは篤子の姿を見て、これでようやく解放されるとホッとした顔になった。 ところが篤子はシンをがっかりさせる。 「シン君、ごめんね、彼女連れて先行ってるから」 そう言い置いて、またさっさと楽屋に引っ込んでしまったのだ。 「なんなんだ?」 シンは少し呆気に取られて篤子を見送った…。
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