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サイン会も終盤近くなって、やっと篤子が姿を現した。
いつもはぴったり横にいて握手を求めるファンに「ごめんなさい」と断るのが篤子の役目のようになっていた。
おかげで今日はうまく断ることのできないシンは、握手をしたり一緒に写真に収まったりしなければならず忙しい。
まったく。
こんな日に篤子さんがいてくれない…。
いつまでたっても終わらない…。
早く優子さんに会いたいのに。
シンは篤子の姿を見て、これでようやく解放されるとホッとした顔になった。
ところが篤子はシンをがっかりさせる。
「シン君、ごめんね、彼女連れて先行ってるから」
そう言い置いて、またさっさと楽屋に引っ込んでしまったのだ。
「なんなんだ?」
シンは少し呆気に取られて篤子を見送った…。
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