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「じゃ、じゃあ、金を」
「ほら、受け取れ」
顎で合図を出すと、部下はアタッシュケースの中身を床にぶちまけた。
バサバサバサッ、床に広がっていく紙幣を、男は大慌てで掻き集めている。
「ご苦労だったな」
ダーン。
男に背を向けると同時に響いた銃声。
一瞬あと、ばさりと紙幣の山になにかが倒れる音がした。
カチリ。
愛用の黒のアウディに乗り煙草をくわえると、すかさず火がつく。
ふぅーっ、やっぱり、不味い。
それでなくても不味い煙草が、あんな男と一時とはいえ同じ空気を吸ったあとだと、さらに不味くなる。
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