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途方に暮れてる孝尚の後ろには沈黙を守っているコーヒーメーカー。
似合わない苺ミルクのキャンディを口にくわえ、俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。
「ごめんね、信爾。
コンセント抜けてるなんて気づかなかったよ」
「別にいつものことだからな」
やっと入ったコーヒーを啜ると、甘ったるくなっていた口の中が幾分ましになった。
やっぱり孝尚はへらへらと笑ってる。
……孝尚とは高校時代からの付き合いだ。
昔から、実験莫迦だった。
それは大人になったいまでも変わりない。
たまに、失敗作だといってはいい夢を見させてくれるクスリを作るので、俺はそれを売りさばいているわけだが、孝尚自身は自分が作ったクスリのその後なんて興味がないらしい。
そして、その金で自分の実験が続けられている事実にすら。
「信爾。
……また、嫌なことがあった?」
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