ロリポップ

8/12

20人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
途方に暮れてる孝尚の後ろには沈黙を守っているコーヒーメーカー。 似合わない苺ミルクのキャンディを口にくわえ、俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。 「ごめんね、信爾。 コンセント抜けてるなんて気づかなかったよ」 「別にいつものことだからな」 やっと入ったコーヒーを啜ると、甘ったるくなっていた口の中が幾分ましになった。 やっぱり孝尚はへらへらと笑ってる。 ……孝尚とは高校時代からの付き合いだ。 昔から、実験莫迦だった。 それは大人になったいまでも変わりない。 たまに、失敗作だといってはいい夢を見させてくれるクスリを作るので、俺はそれを売りさばいているわけだが、孝尚自身は自分が作ったクスリのその後なんて興味がないらしい。 そして、その金で自分の実験が続けられている事実にすら。 「信爾。 ……また、嫌なことがあった?」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加