最高のカレー

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最高のカレーが食べたい。 しかし、カレー屋さんのカレーも美味いけど、 最高のカレーとは言い難い。 スーパーやデパ地下にも、百均にも売ってない。 だったら、 自分で創ろう。 そう決意したのは確か80年ぐらい前だった。 まず手をつけたのはスパイスだった。 スパイスの調合がカレーの要。 具なんかいらない。 世界中を廻ってスパイスを採集する。 スパイスの中身は、誰にも教えない。 自分だけの調合。 1mgの百万分の1gまで調整している。 誰にも真似できないだろう。 スパイスは大体出来た。 ここまで30年かかった。 次にスパイスに合う水を探した。 水こそがカレーの要だ。 試行錯誤の末、 王水とびっくり水とバファリンの半分と親子水いらずを絶妙な配合でブレンドした、ブレンド水が完成。 ブレンドの成功に20年かかった。 特別調合したスパイスミックスにそのブレンド水を加え、煮込む事三ヶ月。 まだまだこんなもんでは最高のカレーに程遠い。 さらに試行錯誤した。 米だ。米こそがカレーの要だ。 ナンやパンでカレーを食べる文化や習慣もあるかもしれないが、カレーには米、米飯、ライスだ。 異論は一切認めない。 先ずは米の栽培に適した場所を探した。 やはりカレーに合う米を育てるならインドだ。 インドに移住し、土地を購入。 畑を作る。畑だ。インドでは米は畑で作る。 米の銘柄にこだわるのは当たり前。 種籾一粒一粒選定する。 それを畑に撒く。 これが陸稲だ。 カレーとはあまり関係ない気もするが、 米がカレーの要だ。だから米づくりなくしてカレーは成立しない。 収穫して試食したがまだ試行錯誤の余地はある。 品種改良だ。それしかない。そういう結論に至った。 品種改良と栽培法の確立に30年費やした。 紆余曲折。 遂に完成。 80年あまりで辿り着いた、まさに“必殺”のレシピ。 それは、 スーパーで売っているカレールーを湯に溶かす。 すると、誰もがおいしく食する事ができるカレーの完成。 万人受けするカレーこそが最高と悟ったのは、カレー作りから80年以上経過してからだった。
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