1 反抗するより弾き語り

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そんなキズカに構うことなく、淡々と続けるマサヴィル。 「まずは実戦経験をもっと積めよ。そうすれば、どんな職業にでも転職出来る。体ばっかり鍛えて、 喧嘩ばかり・・・それ以外のことから逃げてばかりだから、いつまでも見習い剣士なんだよ」 「俺が逃げてるって?」 「あれ?気付いてなかったのか?」 うすうす気付いていただけに、マサヴィルの言葉が痛い。 「う、うるせぇ!」 「うるさくない。周りを見ろよ。職業剣士って、お前だけだろ?時代遅れの剣士でいること自体が逃 げだと思うんだが」 「は?それは違うだろ!剣士は時代遅れじゃない」 「違わない。この時代だから、俺は武器を持つことを辞めたんだ」 この一言で一転して、キズカがマサヴィルに問いだした。 自分の考えの方が正しいと、自信満々に胸を張った。 「ん?待て。それは逃げじゃないのか?剣を持つからこそ立ち向かえる。そうは思わないのか?辞 める方が逃げだ!」 「ふん。すでに世界はシゲルーザ帝国を中心に回っているんだ。無駄な抵抗すんなってことだよ。 立ち向かって争いを起こすなんて馬鹿げてる。なんで俺が吟遊詩人やってるのかわかんねぇの か?」 その問いに対し、誇らしげに、持っている剣を見せつけるキズカ。 「ふんっ!俺はドビスビッチェを世界の中心にしたいんだ」 「お前、話を聞いてたか?頓珍漢な答えをしやがって!」 「お前の話は聞かん!俺が・・・ドビスビッチェが最強だ!」 こいつは話にならない。 そう思い、会話を続けるのが嫌になったマサヴィルだったが、何故かキズカを放ってはおけなかっ た。 「ふ~。やれやれだな。まずは、お前の考えが甘いのを知ることだ」 「ふん!何で俺の考えを甘いと言えるんだ?人の考えにケチをつけんなよ」 「そうかそうか。じゃ好きにしてくれ」 「言われんでも好きにやってる!」
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