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そんなキズカに構うことなく、淡々と続けるマサヴィル。
「まずは実戦経験をもっと積めよ。そうすれば、どんな職業にでも転職出来る。体ばっかり鍛えて、
喧嘩ばかり・・・それ以外のことから逃げてばかりだから、いつまでも見習い剣士なんだよ」
「俺が逃げてるって?」
「あれ?気付いてなかったのか?」
うすうす気付いていただけに、マサヴィルの言葉が痛い。
「う、うるせぇ!」
「うるさくない。周りを見ろよ。職業剣士って、お前だけだろ?時代遅れの剣士でいること自体が逃
げだと思うんだが」
「は?それは違うだろ!剣士は時代遅れじゃない」
「違わない。この時代だから、俺は武器を持つことを辞めたんだ」
この一言で一転して、キズカがマサヴィルに問いだした。
自分の考えの方が正しいと、自信満々に胸を張った。
「ん?待て。それは逃げじゃないのか?剣を持つからこそ立ち向かえる。そうは思わないのか?辞
める方が逃げだ!」
「ふん。すでに世界はシゲルーザ帝国を中心に回っているんだ。無駄な抵抗すんなってことだよ。
立ち向かって争いを起こすなんて馬鹿げてる。なんで俺が吟遊詩人やってるのかわかんねぇの
か?」
その問いに対し、誇らしげに、持っている剣を見せつけるキズカ。
「ふんっ!俺はドビスビッチェを世界の中心にしたいんだ」
「お前、話を聞いてたか?頓珍漢な答えをしやがって!」
「お前の話は聞かん!俺が・・・ドビスビッチェが最強だ!」
こいつは話にならない。
そう思い、会話を続けるのが嫌になったマサヴィルだったが、何故かキズカを放ってはおけなかっ
た。
「ふ~。やれやれだな。まずは、お前の考えが甘いのを知ることだ」
「ふん!何で俺の考えを甘いと言えるんだ?人の考えにケチをつけんなよ」
「そうかそうか。じゃ好きにしてくれ」
「言われんでも好きにやってる!」
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