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雨漏り
久々に帰った実家は雨漏り屋敷になっていた。
あっちの天井からぼたぽた、こっちの天井からぽたぽた…。
それだけでも欝陶しいのに、雨水がどこかに溜まっているらしく、天気が回復しても、あっちの天井からぽたぽた、こっちの天井からぽたほた…。
あまりのことに、どうして屋根の修理をしないのかと言ったら、業者を変えて三回やったが直らなかったと言う。
だったら、そもそもいつからこうなったのかを聞いたら、およそ一年前からだと母親が答えた。
一年前の雨の日に、軒先に人の姿が見えた。
雨宿りをしているのだろうと思い、しばらく放置していたが、かなり小降りになってもその人は動かない。
外に人がいることが苦になり、思いきって、傘を貸して立ち退いてもらおうと外に出たら、そこには誰もいなかった。
それ以来、酷い雨漏りが始まって、修理をしてもまるで直らず、もしやあの時外にいた人が、何か悪いモノなのではと、お寺に相談に行ったところ、これが大当りで、うちは何かに憑りつかれているとのことだった。
ただ、対策はきちんとされたようで、拝んでもらった日から一年雨漏りを堪えれば、障りはキレイさっぱり消えるらしい。
相談した住職さんは徳の高い方で、対処も発言も信じているが、憑りいているモノの方が強力で、一年でどうしようもなかった場合は、引越しも視野に入れているらしい。
俺の知らない間にそんなことが起きてたなんて。
幽霊とかは、どちらかというと信じてる方だけど、霊現象で実家がなくなるとかはイヤだなぁ。
相も変わらず、家中のあとこちに、降ってもいない雨の雫が滴り落ちる。それを俺は、驚きを通り越して冷静になった…いや、完全に思考が麻痺した心境で見つめた。
雨漏り…完
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