ハロウィンの呪文

5/15
前へ
/188ページ
次へ
「っと、ただいま」 開けたドアの外に居た俺に驚いたリリが答える。 これ、何度もしてると思うんだけど。そのたびにいつもリリは驚く。 なんか後ろめたい事でもあるのかと疑いたくなる。 「そろそろサクラ、返してもらってい?」 「へ?!サクラちゃん?」 「どうして私に聞くのって顔してるよ。リリ」 ホントわかりやすい。思ったこと全部顔に出る。 別にリリに断る必要なんてないけど。 「ん?まぁ俺なりの宣言?」 呪いが解ける。 その時には―――。 驚いた顔のリリ。 まぁ当然だろう。こんな自分、リリにさえあまり見せてこなかったから。 だけど今日はここまで。リリにだってまだ全部見せるわけにはいかない。 「リリ待ってたら腹減ったよ。今日の晩飯なにかな」 「何。それ」 すぐにいつもの俺に戻ったらリリもそれに対応してきた。 「あ、今日のカフェ、感想はレイトに」 「レイ?」 「そ、アレ教えてくれたのレイトだからね」 一応、玲斗にお礼のつもり。 ま、直接俺がなんかするわけじゃないけど、このぐらいはね。 知ってると思ってたのに。ホントリリって鈍感っていうか。 「ま、飯食ってからにして。ほら、行くよ」
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加