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「っと、ただいま」
開けたドアの外に居た俺に驚いたリリが答える。
これ、何度もしてると思うんだけど。そのたびにいつもリリは驚く。
なんか後ろめたい事でもあるのかと疑いたくなる。
「そろそろサクラ、返してもらってい?」
「へ?!サクラちゃん?」
「どうして私に聞くのって顔してるよ。リリ」
ホントわかりやすい。思ったこと全部顔に出る。
別にリリに断る必要なんてないけど。
「ん?まぁ俺なりの宣言?」
呪いが解ける。
その時には―――。
驚いた顔のリリ。
まぁ当然だろう。こんな自分、リリにさえあまり見せてこなかったから。
だけど今日はここまで。リリにだってまだ全部見せるわけにはいかない。
「リリ待ってたら腹減ったよ。今日の晩飯なにかな」
「何。それ」
すぐにいつもの俺に戻ったらリリもそれに対応してきた。
「あ、今日のカフェ、感想はレイトに」
「レイ?」
「そ、アレ教えてくれたのレイトだからね」
一応、玲斗にお礼のつもり。
ま、直接俺がなんかするわけじゃないけど、このぐらいはね。
知ってると思ってたのに。ホントリリって鈍感っていうか。
「ま、飯食ってからにして。ほら、行くよ」
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