ハロウィンの呪文

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ハロウィン当日。 学園内はいたって普通。 生徒会がハロウィンイベントを学校側に何度か提示してるだけど学園祭と同じ月ということで認可されないらしい。 だいたいメディアで騒ぐほど日本では浸透していない。 堂地の家では俺たちが成長した今はそれっぽいデザートがお茶のついでに並ぶ程度。 まぁ今年は久しぶりにリリがカップケーキ焼いてたみたいだけど。 昼休み。リリが珍しくうちの教室に顔を出した。 「リリ、どうかした?」 「あ、ユーヤ。えっとね、サクラちゃんってお昼どうするのかな?」 最近の咲良はリリたちと一緒に食べてるはずだけど?そう思ったもののとりあえず咲良を呼ぶ。 「サクラ、リリ来てるけど」 「ありがとう」と言ってお弁当が入ってるらしいバッグを手に立ち上がる咲良。 その後ろ姿を見ているとドアの方から声がする。 「ユーヤもテラス行く?」 クラスでもよく話をする智(サトシ)。 どうやら今日は特別メニューがあるらしい通称テラス(学食)。 「ん、行く」そう返事をすると智は「先行って席取っとくよ」と言ってそのまま走り出した。 俺と違ってかなりの行動派。そのくせ気遣い上手で付き合いやすい。 まぁ俺のキャラじゃないから真似はしないけど、ちょっとは見習いたい部分もある。 机の上の教科書をしまうと俺も智を追ってテラスに向かった。
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