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「堂地クン、また明日ねー」
「あー、(誰だっけ)うん」
黒目がちな目を少しだけ細め、口角を上げる。
あとは適当に返事をするだけ。
こうするだけで目の前の女子はあっさり満足して。
名前なんて覚えなくても、返事が適当でも。
とりあえずニコニコしてればそれだけで場は和む。
そう子供のころに教えられた。
こんなことでいいなら、チョロイ。
結局、誰かわからないその後ろ姿を見送ると小さくため息をつく。
ハァ……
そろそろこの呪いも効かなくなってくるはずなのに。
まだ周りはそれを認識してないらしい。
最近一人でいるとよく声をかけられる。
さすがに、いいかげんウンザリ。
それというのも、双子の妹のリリや幼馴染の咲良と一緒に帰らなくなったから。
今まではどちらかがいればそんなに声をかけられることもなかった。
そのリリは学園祭で仲良くなった同クラの子と一緒に帰るようになった。最近リリが変わってきたのは喜ぶべきことで、だからって咲良まで。
おかげで今日も俺は一人で帰る羽目に。
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