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「色々って何?一緒に住み始めて幸せなんじゃないの?」
「色々あるんだって…なぁ、司。どっか良い場所ない?」
「は?」
煙草を咥えたまま、ポカンと僕を見つめる顔は相変わらず愛らしい捨てられた子犬みたいな顔で。
そんな顔を見たらつい噴き出してしまった。
「そんな捨てられた犬みたいな顔で見つめんな」
「てかさ、浩太郎の方こそ捨てられた子猫みたいな顔だよ?最近どうしちゃったの?響ちゃんと喧嘩でもしたの?で、良い場所ってデートってこと?」
「そ、デート。どっかない?」
「俺よりも浩太郎の方がそういうの得意じゃん。前は散々色んな女の子とデートしてた癖に」
そういえばそうだったな、とまた溜め息。
誰かと付き合って、こんな風に悩んだ事なんかなかった。
以前の僕はもっと余裕があったし、こんな事くらいで落ち込む事もしなかった。
情けない話だけれど、もし響がいなくなったら僕は生きていく事すらできないかもしれないと思うくらい響の事が好きみたいだ。
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