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「はー。美味しいものが食べたい」と言うのが口癖の正輝はいつも頼子の顔を見ていう。
頼子は「作ったことないから、作れない」と答える。
正輝と頼子は現在恋人同士で、同棲中だ。
正輝は幼い自分に母が作ってくれたすいとんの味が、忘れられなくて、もう一度食べたいと切願していた。
けれど頼子は味見をしたこともなければ今までの人生において、すいとんと言うものを食べたことが無かった。
作ってあげたくても作り方を知らないから作れないのだ。
正輝は、頼子に何度断られてもしつこく作ってくれと言ってくる。
ある日頼子は、正輝があまりにもしつこく言うのですいとんの作り方をネットで調べて作って正輝が帰ってくるのを待った。
宵の口になって仕事から帰ってきた正輝に頼子は笑顔でいう。
「正輝、すいとん作ったから食べてみて」一瞬正輝の顔の表情が変わった。
嬉しそうなのである。
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