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 中学三年の秋、私と樹は出会った。 「ミコト~~……美琴っ!」  十五歳の私を友人のまどかが呼んでいる。まどかは、教室のドアから私の座っている席に困ったような顔をして近づいてきた。 「B組の笠原謙人が呼んでるんだけど……」  前の席に座って話していたせっちゃんが、驚いた表情で口元を押さえた。 「えっ、B組の笠原……?」  友人二人の微妙な様子に私は戸惑った。 「笠原くん? 誰?」 「知らないの? 有名じゃん」  そう言うと、まどかは渋い表情をした。 「……ねえ、さっきからずっとこっち見てるんだけど、ドアの隙間から……」  せっちゃんは呆れた顔で教室のドアを指差した。ドアのほうに視線を向けると、誰かがサッと姿を隠した。  まどかとせっちゃんは顔を見合わせると、私の方を向き、可哀相なものを見るような目をした。  ぽんっとまどかが私の肩に手を置いた。 「早く行ってあげなよ、美琴」  「う、うん」 「しっかり丁寧に断ってくるんだよ」  せっちゃんの言葉を聞いて、何を断るの? と、ハテナが私の頭に浮かぶ。二人は私が席を離れると、真面目な顔で笠原くんの噂話をはじめた。 「笠原の呼び出し、今度は美琴か~~。今月は行って何人目?」 「十人以上だったはず。全員に振られてるらしいよ」 「当たり前だよ。彼氏には無理。女なら誰でもいいのかって」 「まあね」 「それに笠原って見た目が……」  ――――怖い。
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