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トントン
いつも閉まっている扉をノックするユーリーさん。
ここはメイコウさんのお店。
露店などと違い、扉は閉じたまま、さらに鍵もしまっているのだ。
メイコウさん曰く、調剤の邪魔をされたくないらしい。
ガチャ
鍵が開く音がして、扉がきしんだ音を立てる。
中から出てきたのは、ユーリーさんほどの背丈の、ローブ姿の薬師、メイコウさんだ。
以前、ミドリックの薬師のナルミさんの依頼の時にお会いしているのだけど、覚えているかな?
「こんにちは、お久しぶりです。」
ユーリーさんが挨拶をする。
「ああ、あなたたち。その節はどうも。」
どうやら私たちのことを覚えていてくれたらしい。
まぁ、私は毎月のように通っているので忘れられたら困るんだけど……。
「今日はどんな御用で?」
私に視線を向けながら、聞いてくるメイコウさん。
今日は私の用事じゃないよ。
「ええ、ファンちゃんから話を伺いましてね。」
ユーリーさんがそう言うと、メアリーさんの背中に隠れていたファンちゃんがひょっこり顔をのぞかせる。
メイコウさんは、わずかに顔をしかめた。
「ミドリックに送り返そうと思ったのですが、譲れないみたいで。
詳しい話を聞きにこちらに伺ったのです。」
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